体育・健康・スポーツの学術雑誌まとめ!分野別で比較

体育・健康・スポーツに関する学会にもいろいろあります。ここではこれらの分野に関する論文が掲載される、学術雑誌をまとめて紹介していきます。

体育系の学術雑誌

体育科教育研究

体育科教育研究

「体育科教育研究」は、日本体育科教育学会が発行する学術雑誌です。
「総説」「原著論文」「実践研究」「実践提案」「研究資料」「書評」「その他」の7つから構成されています。
総説では体育科教育学の研究領域に関する主要な文献内容の総覧を体系的にまとめ、原著論文では新たな知見をもたらすものが掲載されます。
実践研究では体育科授業を実践する現場の情報をもとにした研究です。指導についての実用的研究などが含まれます。実践提案としては、体育科授業の実践について新たな方向性を提案するような内容が掲載されます。
そして研究資料では、体育科授業の調査や実験結果の報告、体育科教育学において研究上客観的な資料として価値が認められるものがここに掲載されます。
このようにして「体育科教育研究」には様々な論文や研究報告等がまとめられていきます。ただ、原著論文なども掲載される本誌では誰でも読みやすく理解しやすい内容になっているとも限りません。そこで当学会では他に「体育科教育学の現在」という書籍も出されています。こちらは、今までの研究の成果をレビューし、整理することで、より研究領域や手法などを学びやすくした参考資料として活かせられます。大学院生や若手の教員、若い研究者や実践者など、体育科教育学に関心ある多くの人が読めるようになっています。
http://jsppe.gr.jp/

体育測定評価研究

体育測定評価研究

「体育測定評価研究」は、日本体育測定評価学会が発刊している学会誌です。
当学会は、体育の測定評価に関する学術研究、および教育向上に資することを目的に活動をしている学会です。和文誌である「体育測定評価研究」と英文誌「Human Performance Measurement」の刊行や、シンポジウム、一般研究発表などの事業を行っています。
「体育測定評価研究」については、体育・スポーツ分野の測定や評価に関する研究論文、そしてより広い視点から見るヒューマン・パ フォーマンスの測定・評価に関する論文などが掲載されます。評価に関する新しい知見や方法を見出すことのできる学術雑誌としてりようできるでしょう。
https://jstmhpe.org/

健康系の学術雑誌

日本スポーツ栄養研究誌

日本スポーツ栄養研究誌

「日本スポーツ栄養研究誌」は、NPO法人日本スポーツ栄養学会が発行する学術雑誌です。
本学術雑誌では、会員に対しスポーツ栄養の各種情報を提供すること、そして会員の専門的知識を向上させることを目指すとともに、会員からの投稿原稿の掲載、スポーツ栄養に関する新知見やエビデンスの蓄積を目的としています。
「総説」「原著」「短報」「スポーツ栄養マネジメント報告」「実践活動報告」「大会発表抄録」「資料」などで分けられる原稿が掲載され、年間1〜2回の発行が予定されています。
掲載された原稿の中から当学会の学会賞や奨励賞が選ばれるなど、積極的な原稿の投稿を受け付けています。そして採択が決定した原稿については本誌の発刊前であっても公式ホームページから閲覧できるように早期公開などの対応がなされています。
https://www.jsna.org/

学校保健研究

学校保健研究

「学校保健研究」は、日本学校保健学会が発行する学術雑誌です。
日本やアジア諸国の学校保健において、教育学・心理学・医学など、関連する諸科学の知見と方法をもとに様々な問題の解明と方策の探求を目的とした学術雑誌です。教育とその他学問とを結ぶことで教育に科学的基礎を与えるとともに、健康教育に教育科学的指針をもたらします。そこで本誌は学校保健の専門家に限らず、関連する他の学会の研究者や行政関係者、指導現場にいる指導的教員などにも意味あるものとなっています。
また近年アジア諸国と学問的交流が高まっており、日本以外にも、これら諸国の論文も積極的に掲載していますので、本誌はアジアにおける学校保健学研究の中心的存在になりつつあると言えます。
http://jash.umin.jp/

スポーツ系の学術雑誌

スポーツ科学研究

スポーツ科学研究

「スポーツ科学研究」は、早稲田大学スポーツ科学学術院が発行する学術雑誌です。
オンラインジャーナルとして発刊されており、世界中にスポーツ科学の情報を発信しています。発刊にあたっては、紙媒体かつ従来型のコンテンツを踏襲したものにしようとする意見もあったようですが、編集委員会での議論で面白みの不十分さ、および多様な情報発信ができないという意見も出されたことで現在の形に至ったとされています。そのため本学術雑誌は、実験室的研究から踏み出したものという性格を有しています。
もともと学部設立における理念は「スポーツ文化を創出し、人間の幸せに貢献する」ということで、「国際的に通用する選手を作り出す人材の育成」や「怪我の管理、コンデショニングの指導が出来るトレーナー育成」、「スポーツビジネスを担う人材育成」などを目指すべき目的としています。またスポーツ選手等の育成に限らず「少子高齢化社会における健康の維持管理が出来る人材育成」や「スポーツによって生活の質を高められる人材の育成」なども目的として掲げています。要は、これらスポーツニーズ、ソーシャルニーズ、パーソナルニーズがスポーツ科学には求められているのです。
「スポーツ科学研究」の発刊はこれらのニーズに応えるための一つの活動であり、これを通じてスポーツ科学に関する情報交換の場が提供されています。そこで「スポーツ科学研究」では、誰でも何時でも、何処からでも自由に投稿できる開放的なオンラインジャーナルとなっています。
スポーツに本格的に取り組んでいる方や、これを社会または個人に活用させようと考えている方など、スポーツ科学に関係する多くの方に役立つものとなっていますので、ぜひ読んでみるといいでしょう。
http://waseda-sport.jp/

スポーツ産業学研究

スポーツ産業学研究

「スポーツ産業学研究」は、日本スポーツ産業学会が発行する学術雑誌です。
当学会はスポーツ産業を日本の基幹産業に発展させること目指し、産・官・学の協力によって設立された学会です。この活動を通して得た知見や新たな研究内容等が「スポーツ産業学研究」として情報発信されています。また、学術雑誌として利用されているだけではなく、スポーツ産業に関する産・官・学が情報交換できる場にもなっているのです。
そこで、学術的な視点から執筆される研究論文に限らず、スポーツ産業に関連するものなら広く取り扱っています。スポーツ産業全般に関する解説や展望、また過去に掲載された論文等に対する意見や提案なども投稿ができるとされています。そのため、一方的な情報提供がなされる従来の雑誌ではなく、読者側との両方向に情報のやり取りが可能であるという特徴を有します。
また、意見交換等の場となることを実質的に確保するため、投稿者を学会員に限定することもしていません。投稿規定にあるように、スポーツ産業・スポーツ産業学の発展に寄与する人であれば、会員かどうかを問わず投稿ができるとされています。ただしその場合は著作権が当学会に帰属するなど、権利関係には注意しなければなりません。
https://spo-sun.gr.jp/

フットボールの科学

フットボールの科学

「フットボールの科学」は、日本フットボール学会が発行する学術雑誌です。
日本フットボール学会とはフットボールに関する科学的研究をし、またその発展に力を注ぐとともに、これらの成果をプレーヤーや指導者に浸透させることを目的として活動をしている学会です。「フットボールの科学」の発行もその目的を達成するために行う活動の一つで、フットボールに関する様々な知見が得られるようになっています。会員でなくても入手できるようになっておりますので、学会事務局に問い合われば3000円で購入が可能です。
ここでは例えば「Global Positioning System に基づくフットボールのトラッキング」や「ラグビーにおけるタイムモーション分析の現状と課題」などが掲載されるとともに、当学会が発行する国際学術雑誌「Football Science」の内容を要約したものなども掲載されます。「Football Science」は英文誌で、2004年からオンラインジャーナルとしてスタートしたものです。「研究と現場との双方向の橋渡し」という学会の目的を達成するため、国内だけでなく世界中に発信するために設けられています。情報発信力やアクセシビリティの強化が図れ、さらに英訳が必要とならないため審査プロセスが迅速化されるなどのメリットもあるのです。
当学会ではこのように情報発信を積極的に行っており、もう一つ、「サッカー医・科学研究」という関連誌も発刊しています。こちらは日本サッカー協会が主催して行われてきた学術研究会の報告書を公開したものになります。バックナンバーがオープンアクセスできるようになっています。
https://www.jssf.net/

アダプテッド・スポーツ科学

アダプテッド・スポーツ科学

「アダプテッド・スポーツ科学」は、日本アダプテッド体育・スポーツ学会が発行する学術雑誌です。
当学会は障害児や障害者の体育・スポーツに関する科学的研究の進歩発展を目的とする学会で、「アダプテッド・スポーツ科学」は障害者スポーツに関係している人や体育学・教育学・心理学・福祉学、そしてリハビリテーション医学など、多様な領域の研究者にも有効的な情報が扱われています。
なお、ここでいう「アダプテッド・スポーツ科学」とは心身障害者のみを対象にしたスポーツ科学ではありません。妊婦や高齢者、さらにリハビリテーションにおける身体活動も含んだ「アダプテッド・スポーツ・サイエンス(Adapted Sport Science)」を意味します。
本誌ではこのアダプテッド・スポーツ科学に関する諸問題を取り扱う論文および資料等に基づいて作成された研究論文や、独創性に富んだ未発表の研究論文などが掲載されます。
http://www.adapted-sp.net/

まとめ

様々な学術雑誌が、それぞれの学会等から発刊されていることが分かったかと思います。会員でなくても基本的に購入や閲読は可能ですので、興味のある方は読んでみるといいでしょう。