人間学・心理学に関する学術誌や学術雑誌の分野別まとめ

人間学や心理学を学び理解するためにはたくさんの文献を読むことが大切です。そこで必要になってくるのが学術誌や学術雑誌に触れることです。人間学や心理学の分野においてもたくさんの学術誌や学術雑誌が出版されていますが、どのようなものを読むと良いのでしょう。

人間学に関する学術雑誌

人間学についてもたくさんの学術雑誌が刊行されています。その中でもおすすめしたいものを紹介していきます。

現代人間学・人間存在論研究

現代人間学・人間存在論研究

「現代人間学・人間存在論研究」は、大阪府立大学の環境哲学・人間学研究所が発行する学術雑誌です。本研究所では生命の哲学、サステイナビリティ、平和学、総合人間学の4つのテーマを軸に、現代社会とそこで生きる人間の存在について総合的な理論研究を行っており、本研究員で構成される現代人間学・人間存在論研究部会の研究成果をまとめたものです。現代人間学における社会的、時代的な要請、そして課題などを提起したり、現代社会における「人間」の再定義が綴られており、思想や価値理念を踏まえた人間学的な考察を発表しています。
http://www.osakafu-u.ac.jp/library/info/opera/bulletin/

総合人間学

総合人間学

「総合人間学」は、2006年に設立された総合人間学会が発行している学会誌です。前身の総合人間学研究会の頃から現在に至るまで、「人間とは何か」をテーマに研究を続けており、その進化と普及を目指して発表されているものです。電子ジャーナルとして第7号から総合人間学会の公式サイトから閲覧可能、第14号まで公開されています。総合人間学の内容には、投稿論文や研究ノート、学会の活動報告、シンポジウム報告、書籍紹介、学会情報などがあります。
http://synthetic-anthropology.org/

人間学紀要

人間学紀要

「人間学紀要」は、1973年、上智大学文学部人間学研究室の当時のメンバーが中心となって発足した学会・上智人間学会により発行されている学術雑誌です。人間学について、哲学や倫理、宗教の3つを基盤にし、科学に基づく文献や事実などを引用しつつ、現実社会に生きる「人間」の生き方について論究した成果を発表しています。2014年に発行された人間学紀要第43号では、研究論文に「人間学に基づいた教育」などが掲載されています。キリスト教ヒューマニズムの精神に基づいた人間教育を深く究め、交流の場となることを目的として発行されています。
http://ningen-gakkai.org/

人間・環境学

人間・環境学

「人間・環境学」は、京都大学大学院 人間・環境学研究科 総合人間学部から年に1回発行されている学術雑誌です。人間・環境学を通して人間と環境の関わり方について、未発表の論文や資料、課題や展望、解説などを発表しています。京都大学学術情報リポジトリKURENAI 紅にて公開されていますので、オンラインから閲覧が可能です。2019年までに第28号まで発行されており、様々な観点から捉えた人間・環境学についての記述が掲載されています。毎号日本語・英語を含む15ほどの論文が掲載されており、見応えのある学術雑誌です。
https://www.h.kyoto-u.ac.jp/

致知

致知

「致知」は、致知出版社から発行されている日本で唯一「人間学」を学ぶための月刊誌です。書店に並ばない雑誌であるにも関わらず、1978年に創刊されて以来、11万人の定期購読者を獲得しており、多くの愛読者から支持を得ている人気雑誌と言えるでしょう。致知では有名無名、ジャンルなど一切問わず、各分野で活躍されている人々の貴重な体験談が紹介されています。2020年8月号では「鈴木大拙に学ぶ人間学」が特集されており、対談記事や鈴木大拙にまつわる記事の再録、またインタビュー記事や好評連載記事も掲載されています。バックナンバーも豊富にありますので、人間学を学ぶのにおすすめの学術雑誌です。
https://www.chichi.co.jp/

人間工学

人間工学

「人間工学」は、一般社団法人 日本人間工学会により年に6回、偶数月に発行されるA4版の学会誌です。原著論文や総説をはじめ、リサーチイシューや短報、実践報告、技術報告、オープンデータの7種類が主な内容となっています。加えて海外の研究動向、技術開発に関する説明文や人間工学に関わる国際学術集会の参加報告、本学会内の委員会報告、書評なども掲載されています。1965年に創刊された歴史ある学会誌として知られ、全号電子化されて総合学術電子ジャーナルサイトJ-STAGE上にて公開されています。
https://www.ergonomics.jp/

心理学に関する学術雑誌

心理学に関する論文はとても多くあるため、学術雑誌も豊富にあります。具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

心理学研究

心理学研究

「心理学研究」は、公益社団法人 日本心理学会から年6回偶数月に刊行されており、1年に1巻となる学術誌です。掲載内容には原著論文や研究資料をはじめ、研究報告や展望論文、さらに会報欄などがあり、1巻は約600ページで構成されています。心理学研究は最新刊、バックナンバーを含めJ-STAGEにて公開されています。1926年に創刊された100年近い歴史を持つ心理学研究は、心理学を学ぶのにふさわしい学術誌と言えるでしょう。
https:psych.or.jp

心理学ワールド

心理学ワールド

「心理学ワールド」は、公益社団法人 日本心理学会から年4回発行されている心理学関連の情報が豊富に掲載されている啓発・情報誌です。1998年創刊以来、20年以上継続して刊行されており、毎号興味深い特集が組まれ愛読者に学びを提供しています。心理学ワールドの内容として、特集に関する気鋭の研究者による解説記事やトピック、インタビュー記事、さらには大学の紹介なども含まれます。心理学研究者に限定せず、一般読者を想定して構成されているのが大きな特徴です。日本心理学会の公式ホームページから、最新号を含めバックナンバーもPDFファイルの閲覧が可能です。
https://psych.or.jp/publication/world

基礎心理学研究

基礎心理学研究

「基礎心理学研究」は、日本基礎心理学会が年に2回発行している学会誌です。内容は未公開の原著論文や研究ノート、評論などがあり、J-STAGEに公開されています。第1巻の創刊号は1982年に刊行されており、現在に至るまで40巻近く発表されている歴史ある学会誌です。第38巻2号では、論文「心理学者は反応時間をどう分析するか」を含め、日本基礎心理学会第1回フォーラムについても掲載されており、基礎心理学研究に興味がある方におすすめの学術雑誌となっています。
http://www.psychonomic.jp/journal/index.html

超心理学研究

超心理学研究

「超心理学研究」というのは日本超心理学会が1996年から毎年発行している学術雑誌です。超心理学というのは現段階で解明がされていない心と物、心同士での相互作用について科学的に探究する研究分野です。念力や超能力、スピリチュアルといったものが主な内容であり、興味深いテーマが豊富に取り上げられています。
http://j-spp.umin.jp/japanese/archives/archives.html

社会心理学研究

社会心理学研究

「社会心理学研究」とは、日本社会心理学会により1985年から年3回発行されている学会誌です。主な内容として、原著論文や資料論文、書評や学会の会務報告などが掲載されています。論文はJ-STAGEにて公開されており、誰でも無料で閲覧することができます。2020年3月には35巻3号が発表されており、防災教育や自閉スペクトラム症など、社会心理学における様々な観点をテーマにした多種多様な論文が掲載されています。心理学者はもとより、心理学に興味がない方でも興味深く読むことができるでしょう。
http://www.socialpsychology.jp/journal/index.html

パーソナリティ研究

パーソナリティ研究

「パーソナリティ研究」は、日本パーソナリティ心理学会が発行している機関誌であり、現在年に3号1巻として発表されています。前身である日本性格心理学会が1993年に創刊された「性格心理学研究」からはじまり、2003年に学会が現行の名称に変わったことを機にパーソナリティ研究となります。パーソナリティ研究では、パーソナリティ、いわゆる人格や性格、さらには気質についての研究を中心に、幅広い分野の研究結果に基づく論文が掲載されています。志向性や方法に囚われず、基礎研究や実践研究、理論研究や実証研究など多種多様な論文を見ることができるのが大きな特徴です。
https:jspp.gr.jp

人間科学に関する学術雑誌

人間科学の分野においても学術雑誌は抱負に発表されており、参考になる文献も多いです。

立命館人間科学研究

立命館人間科学研究

「立命館人間科学研究」は、2000年度発刊の立命館大学人間科学研究所が発表している学術雑誌です。2001年3月にNo.1(通巻17号)が発行されており、以降は年に2~3回のペースで継続しています。主な掲載内容としては、原著論文や実践報告実践と論考、特別論文などがあり、2020年3月には通巻57号にあたる立命館人間科学研究No.41が公開となっています。人間科学の分野における研究や実践をテーマに、多種多様な論文が掲載されているのが特徴です。
https:www.ritsumeihuman.com

人間科学研究

人間科学研究

「人間科学研究」とは、早稲田大学 人間総合研究センター 人間科学学術院により発行されている学術雑誌です。もとは過去に刊行された人間科学部発行の「人間科学研究」、大学院人間科学研究科発行の「ヒューマンサイエンスリサーチ」、人間総合研究センター発行の「ヒューマンサイエンス」が2005年に統合されたものです。人間科学研究は毎年2回発行されており、主な内容としては、主に本学院の講師や教員、客員研究員、大学院生による学術論文が掲載されています。
https://www.waseda.jp/fhum/archs/publications

人間科学論究

人間科学論究

「人間科学論究」とは、常磐大学大学院人間科学研究科の博士課程において、学術研究の発表の場、および相互交換のために発行される学術雑誌です。1993年2月に創刊号が発表されてからvol.20まで発行されています。掲載内容は原著論文、研究ノート、その他論文などから構成されており、vol.19、20では総150ページの読み応えのある学術雑誌となっています。2007年発行のvol.15以降からは常磐大学の公式ホームページから閲覧できるようになっています。
https:www.tokiwa.ac.jp

総合人間科学研究

総合人間科学研究

「総合人間科学研究」とは、信州大学の総合人間科学系が発行している学術雑誌です。教員の研究成果を広く知ってもらうために刊行されているもので、未発表の学術論文や研究ノートをはじめ、学会展望や講演記録、翻訳、書評、さらには学会動向なども掲載されています。なお、2007年から2016年に発表されたものは「人文社会科学研究」、2017年以降に発表されたものは総合人間科学研究として公開されています。信州大学の機関リポジトリから閲覧できますので、興味のある方はぜひアクセスしてみましょう。
https:www.shinshu-u.ac.jp

まとめ

人間学や心理学は比較的新しい学問ですが、分権の数が豊富にあります。分野も細かく分かれており、自分が興味ある分野が何かを把握して該当する分野の文献を読むようにしましょう。中には分野をまたぐような内容のものもあるので、興味関心の分野が複数あるときや、さらに知見を広めたいときにはこのような分野をまたぐ内容にも目を向けてみましょう。