国際学の学術雑誌まとめ!分野別に徹底比較!

国際学は大きく3種類に分けられる

国際学と言っても、世界には貧困問題や民族間紛争、資源や食料、環境問題など様々な課題が存在しており、それぞれ分野別に分けられています。

そのため、まず自分がどの分野に興味があるのかを明確にするようにしましょう。

国際学は大きく「国際関係学」「国際文化学」「国際貿易学」の3種類の分類されます。
それぞれどんな学問なのか、ご説明していきますね。

1. 国際関係学

1つ目は「国際関係学」です。
この学問は、日本や世界でいくつかのエリアを選択し、選んだエリアの問題を歴史学・社会学・政治学・経済学など、多種多様な観点から理解・分析する学問です。

国際社会における様々な問題を取り扱い、それぞれの国の政治、経済、法律を理解しながら、文化的な違いから発生する問題、争っている国家・地域同士が、どうすれば共存していけるのか見出すために重要な学問だと言えるでしょう。

国際関係学を学べば、外国と取引のある日本企業、外資企業、旅行業など、様々な分野で知識を活かしながら働くことができます。

2. 国際文化学

2つ目は「国際文化学」。
この学問は、世界中で起こる問題を文化的な観点から考え、解決していく学問です。
文化が異なる人同士が共存するために、お互いをどのように理解すればいいか研究します。

例えば、世界の様々なエリアから言語の壁を越えて伝えられる音楽、絵画、映像、ダンスなどの芸術文化が、どのように伝達され、人々に受け取られるのかなど、国・民族・性別を超えて異文化を理解し合うための方法論などでしょう。

3. 国際貿易学

最後は「国際貿易学」です。
この学問は、日本と外国の輸出・輸入など、国際貿易の理論と実践について学びます。

諸外国の経済、金融などの知識、貿易の基本的な仕組みから消費者の購買心理、マーケティングまで、幅広い知識を習得することで、国際貿易のエキスパートを目指します。

国際貿易と簡単に言っても、大手会社の取引だけでなく、フリーランスとして活動している個人が、ECサイトや通販を利用して海外のショップと取引するケースなども含みます。

国際貿易学を学べば、経済学・経営学・簿記・金融・数字分析などに加え、貿易英語と呼ばれる国際ビジネス上で使用する英語も習得できるため、社会人になってからは様々な会社で重宝される人材になることでしょう。

国際関係学関連の学術雑誌まとめ

それではまず「国際関係学」関連の学術雑誌をご紹介していきます。

立命館国際関係論集

立命館国際関係論集

「立命館国際関係論集」は、立命館大学国際関係研究科博士後期課程院生による研究成果を中心に収録する雑誌です。2001年4月創刊され、以来年1回発行されています。

立命館大学は1922年に創立され、日本屈指の偏差値を誇る私立大学です。
現在は35,000人を超える生徒数を常に維持している大きな規模のキャンパスを所有しています。

立命館国際関係論集の創刊号では、「タイにおける女性労働者の権利」や「国際赤十字による予防外交の検討」などが取り上げられ、最新刊の2018年度版では、「国際法社会学の視点から見る人権規範」が掲載されています。
http://www.ritsumei.ac.jp/ir/isaru/ronsyu/

国際関係論研究

国際関係論研究

国際関係論研究は、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻・教養学部総合社会科学分科が発刊している学術雑誌です。

1966年に第1号が発刊され、2019年度は第34号と、大変歴史のある学術雑誌となります。

国際政治、国際法、国際経済、国際関係史など、国際関係の多種多様な研究に対して広く開かれた学術雑誌とも言えるでしょう。

厳正な校正に基づく質の高い論文を掲載しているのが特徴で、字数制限は緩やか、学位論文のような一定の量の研究結果を発表できるメディアとしても重宝される存在です。

2019年に創刊された第34号では「日米軍事同盟」や「日本と韓国における農業補助金体制の変化の比較」などが取り上げられました。
http://www.kiss.c.u-tokyo.ac.jp/publications/airsjournal/

国際文化学関連の学術雑誌まとめ

それでは次に「国際文化」関連の学術雑誌をご紹介していきます。

国際文化学研究

国際文化研究

神戸大学国際文化学研究科は、所属する大学院生の研究を促進し、研究成果を広く公開するために、年に2回『国際文化学研究』を刊行しています。

神戸大学は1949年に設立された兵庫県屈指の偏差値を誇る国立大学です。
関西圏では神大とも略され、2015年時点での在籍生徒数は16,000人以上になります。

「国足文化学」はもともと研究科の教育・研究の一翼を担う雑誌でしたが、2012年度より、大学院生の学術研究をサポートし、大学院教育の効果をより一層強化するために、オンラインの大学院生紀要としてリニューアルしています。

2020年3月に刊行された最新号では「道徳的規制に関するアメリカ連邦最高裁判所判決と裁判官の投票行動の計量的分析」や「就職活動中の中国人留学生が提出したエントリーシートの合否要因に関する一考察」などが取り上げられています。

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/kernel/seika/cover/ISSN=13405217.html

インターカルチュラル

インターカルチュラル

インターカルチュラルは、日本国際文化学会が毎年刊行する国際文化関連の学術雑誌です。

日本国際文化学会は2001年に創立され、以来、民族・紛争・難民問題など、文化的差異によって生じる多種多様な国際問題を研究し続けています。英語名は「The Japan Society for Intercultural Studies」と呼ばれています。

学会誌の刊行以外にも、全国弁論大会、ニューズレターの発行やシンポジウム、交流会の開催など、様々なイベントを開催している組織です。

最新刊である第18刊では、パネルディスカッションでの細かい内容や、「フィンランドのナショナル・ロマンティシズムにおける風景画」、「記念碑の細分化がもたらす文化観光の質的変容について」などが 研究論文として掲載されています。
http://www.jsics.org/journal.html

国際文化研究

国際文化研究

「国際文研究」は、東北大学国際文化学会が発行する学術雑誌です。

東北大学は1909年に設立され、東北地方では屈指の偏差値を誇る国立大学です。
地元では「とんペー」の愛称で親しまれ、2015年時点での生徒数は18,000人を超えている巨大な大学です。

1994年に発足した東北大学国際文化学会は、国際文化研究に関心を持つ研究者、大学院生学部生との知的交流を深める目的で設立されました。

2019年に発行された最新刊では「18・19世紀初頭イングランド法における「エジプシャン」―「エジプシャン」取締法廃止の政治的・思想的背景に注目して―」や「アフリカ系アメリカ人から見た日系アメリカ人リドレス運動―「1988年市民的自由法」成立までを中心に―」などが取り上げられています。
http://www.intcul.tohoku.ac.jp/research/annals.html

国際貿易学関連の学術雑誌まとめ

最後に「国際貿易学」関連の学術雑誌をご紹介していきます。

学習院大学経済論集

学習院大学経済論集

学習院大学経済論集は学習院大学経済学会より刊行されている学術雑誌です。

東京都豊島区にある学習院大学は1949年に設立されました。
東京都屈指の偏差値を誇る私立大学で、2015年時点で約8000人の生徒が在籍しています。

学習院大学経済学会は、経済学・経営学の研究・教育を促進し、研究成果を発表することを通して、学内・学外の研究・教育の交流を図るために設立されました。

2020年に刊行された最新刊(第56巻)では、「仮想市場評価法による東京都の潜在的待機児童数の推計」や「ニューラルネットワークによる最高利益を生み出す価格掛率のシミュレーション」などが取り上げられています。

https://www.gakushuin.ac.jp/univ/eco/gakkai/pdf_files/keizai_ronsyuu/

日本貿易学会リサーチペーパー

日本貿易学会リサーチペーパー

日本貿易学会リサーチペーパーは、日本貿易学会が毎年発行する研究論文誌です。

日本貿易学会は、1961年(昭和36年)7月1日に設立され、同年9月には日本大学で第1回全国大会を開催しました。(2010年には50周年を迎える)
それ以来、実に半世紀に渡り、国際貿易に係わるさまざまな分野の最先端の研究活動を継続しています。

日本貿易学会は、その規模の大きさから「東部学会」「西部学会」とに分けられています。

2021年発行予定の最新号では「日本企業における経営理念の国際志向性と国際化の関係に関する実証分析」や、「環境物品研究の課題と展望」などが取り上げられています。
http://jaftab.org/?page_id=196

経済学研究

経済学研究

経済学研究は九州大学経済学会が発行する、国際貿易学に関連する学術雑誌です。

九州大学は1911年に設立され、九州の中ではトップレベルの偏差値を誇る国立大学として有名です。また、2015年時点での在籍生徒数は18,000人以上。

九州大学経済学会は、経済学の研究および発表を目的としており、経済学研究院の教員、経済学部の大学院生、経済学部の学生で組織されています。

主な事業としては、学術雑誌である『経済学研究』の発行や、学内外の研究者等を招いた経済学に関する研究会、講演会、およびシンポジウムの開催などです。

年6回発刊されている経済学研究雑誌の最新刊では、「サプライチェーン管理における異質エージェントのモデル化とトモグラフィを用いた確率分布推定」や「農業協同組合の収益力と将来」などが取り上げられています。
https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/ja/publications_kyushu/keizaigaku

まとめ

この記事では「国際学」を3つの種類に分け、それぞれの学術雑誌をご紹介してきました。

国際学と一口で言っても「国際関係学」「国際文化学」「国際貿易学」の3種類に分けられ、それぞれ大学や学会などの機関で日々研究されています。

みなさんご存知の通り、世界の情勢は日を追うごとに変化していき、文化も更新されていきます。

そのため常に新しい情報をキャッチし、様々な観点から研究を続けなければならないのが国際学という学問だと言えるでしょう。

論文の内容が気になった方は、ぜひ研究内容に該当する領域を扱う学会などを探してみてくださいね。実際にシンポジウムなどに足を運んで、講演を聞いてみるのも面白いかもしれませんよ。