医学・歯学・薬学・看護の学術雑誌まとめ!分野別で比較

医療に関する技術は年々進歩しています。そのため、医学や薬学、歯学、看護等に携わる方も、最新の情報を取り入れていくことが大切です。一般の専門誌からでも有益な情報を仕入れることはできますが、研究論文等を読むことで最先端かつハイレベルな知識を付けることができます。
そこで、ここでは各分野における論文が投稿される学術雑誌を紹介していきます。

医学・医療系の学術雑誌

日本集中治療医学会雑誌

日本集中治療医学会雑誌

「日本集中治療医学会雑誌」は、日本集中治療医学会の学術雑誌です。
集中治療医学および関連領域の進歩を図り、そして学術文化の発展に寄与することを目的に集中治療医学および関連領域の学術論文の掲載をしています。
当学会は1974年に設立されてからその会員数を伸ばしていき、現在では1万人以上もの会員を抱える大きな学会です。会員の中には医師や看護師、臨床工学技士、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士など様々な職業の方が在籍。集中治療はこれら多職種の連携体制が重要で、24時間体制で集中治療を行う急性期診療領域とされます。そこで「日本集中治療医学会雑誌」に掲載されるのもこういった領域における論文となります。1994年から発刊、2013年からは英文誌も発刊され、年間150編以上の科学論文が掲載されることで集中治療分野の教育から研究、臨床に寄与しています。
例えば「ICUにおける有害事象の実態調査」や「小児先天性心疾患手術後患者におけるICU-acquired weaknessの発症状況とそのリスク因子」などのトピックが最近発刊されたもので取り扱われています。医学等の研究・勉強をしている方、医療に携わっている方などは読んでみるといいでしょう。
https://www.jsicm.org/

再生医療

再生医療

「再生医療」は、日本再生医療学会が発刊する学術雑誌です。
ただ、この「再生医療」は通常の学術雑誌より掲載内容が多岐にわたるなど、やや異なる性質を持っています。というのも学会の編集委員が査読された論文をまとめるだけでなく、出版社編集担当者との話し合いも織り交ぜて作られているからです。そのため学術雑誌としての性質だけではなく商業誌の性質も混ざったハイブリット誌となっています。さらに、再生医療という研究領域は医学や歯学、薬学、工学・理学など幅広い分野の融合を必要とすることから、その研究成果の治療応用という企業化を含んでいることも関係しているとされています。
当該分野で知っておくべきテーマや最先端の情報について、各分野における第一人者が執筆をしており、研究や企業、規制の現状が分かりやすく把握できるような解説がなされています。国内に限らず、世界中の研究、再生医療に関する研究成果がリアルタイムで「再生医療」に掲載されます。
当該学術雑誌は、医工学および組織工学といったバイオエンジニアリングや、ライフサイエンス、メディカルに関心ある方であれば楽しく読める内容になっています。会員だけが読めるのではなく、書店でも販売しているなど、学術雑誌としては比較的入手しやすくなっていますので、興味のある方は手に取ってみるといいでしょう。
https://www.jsrm.jp/

医学と薬学

医学と薬学

「医学と薬学」は、株式会社自然科学者が発刊する学術雑誌です。
医学に関し総合的に取り扱うものとして1979年から発刊されており、伝統ある雑誌とされています。特定の学会で、会員が投稿した論文を掲載しているのではなく、株式会社自然科学社が受け付けた論文をまとめて掲載しています。そのため学会をまたいで投稿された論文が掲載されるという特徴を持ちます。さらに、学術雑誌としては珍しく月刊で発行されており、毎月最新の情報を仕入れられるようになっているのも特徴的です。
雑誌内では、特集記事および投稿論文の二元掲載がされ、豊富な医学・薬学の情報を掲載、大学や病院など、医療関係者に広く読まれています。
最近発行された「医学と薬学」では、「パーキンソン病研究の最前線」という特集が組まれており、他にも「新しい血糖自己測定器の性能と操作性の評価―ISO15197に準じた検討―」「評価評点方式を用いた定量的機種選定」など、いろいろなトピックが紹介されています。
医学および薬学に関して幅広く最先端の情報を取り入れたいという方は購入してみるといいでしょう。
https://www.shizenkagakusha.co.jp/

薬学系の学術雑誌

薬学雑誌(YAKUGAKU ZASSHI)

薬学雑誌(YAKUGAKU ZASSHI)

「薬学雑誌(YAKUGAKU ZASSHI)」は、日本薬学会が発刊する学術雑誌です。
当学会は1880年に創設され、長い歴史を持つ学会です。創設以来、薬学の発展を目的に様々な活動がされてきました。その活動の一環として1881年から「薬学雑誌」が創刊され、1953 年には英文誌の「Pharmaceutical Bulletin」も創刊されています。
英文誌の方は1958 年に「Chemical & Pharmaceutical Bulletin (CPB)」へと名称が変更されています。他にも「Biological & Pharmaceutical Bulletin (BPB)」「Journal of Health Science (JHS)」などの英文誌も発刊されていましたが、学術雑誌の一層の充実を目的として、それぞれの学術誌で構成されていた 4 つの編集委員会を統一しています。これにより、英文誌は「CPB」と「BPB」2誌に統合されています。
和文誌「薬学雑誌(YAKUGAKU ZASSHI)」では、薬学および健康科学すべての分野を取り扱い領域としており、医療薬学や臨床薬学分野など、多様な領域から受けた論文の掲載をしています。例えば有機化学や物理科学、免疫学・微生物学、医薬化学、無機化学、ケミカルバイオロジー、医療薬学、衛生学、レギュラトリ―サイエンス、臨床薬物治療学など、他にも多くの投稿トピックカテゴリーが設けられています。
https://yakushi.pharm.or.jp/

医療薬学

医療薬学

「医療薬学」とは、日本医療薬学会が発刊する学術雑誌です。
医療薬学に関する優れた研究成果を、広く社会に還元することを目指し、2004年からは月刊化されています。他の学術雑誌では年に1回のところが多く、頻度が高くても隔月であるのに比べると「医療薬学」は非常に頻度が高くよりリアルタイムな情報が取り入れられる学術雑誌と言えるでしょう。掲載論文のインターネット公開もされており、さらに論文の利用価値を高めています。
投稿種別には、オリジナルな研究により得られた新しい知見を含む「一般論文」、断片的な研究であっても新知見や価値あるデータが含まれる「ノート」、そして医療薬学領域におけるトピックスに関する研究成果や解説、展望等をまとめた「ミニレビュー」があり、これらから構成されています。
さらに2015年からは寄稿の掲載も始まり、インターネットへアクセスできる環境さえあれば簡単に投稿ができるようになっています。興味のある方は投稿規定を見てみるといいでしょう。詳細が載っています。
当学会では会員だけでなく非会員の方からの投稿も受け付けていますので、当該分野における研究者が知見を深めるために「医療薬学」を読むだけでなく、積極的に投稿をする側になってみてもいいのではないでしょうか。
https://www.jsphcs.jp/

歯学・看護系の学術雑誌

スポーツ歯学

スポーツ歯学

「スポーツ歯学」は、日本スポーツ歯科医学会が発刊する学術雑誌です。
日本国内で唯一スポーツ歯科医学を専門とした学術雑誌で、スポーツ歯科医学に関する研究成果や症例報告、ほかにも様々な最新情報を発信しています。1998年から年間1回以上発行されており、郵政公社から学術刊行物の指定も受けた雑誌となっています。
当学会は1990年に前身となるスポーツ歯学研究会として発足、1994年には日本スポーツ歯学研究会と改称、2000年に日本スポーツ歯科医学会と改称され現在に至ります。会員数も1000人を超え、スポーツ歯学に関する調査・研究を通じその進歩を図ること、会員の知識の向上や国民の啓発を目的とした様々な活動をしています。
この目的を果たすための当学会の基幹事業の一つに学術雑誌の発行が含まれているのです。他には学術大会・総会の開催や、スポーツ歯科認定医の養成および認定事業、スポーツデンタルハイジニストの要請・認定事業、認定マウスガード研修施設の選考・認定事業、認定マウスガードテクニカルインストラクターの選考・認定事業などがあります。
「スポーツ歯学」でも、これらに関する最新の論文が掲載されることになります。なお、当学会による学術雑誌は和文誌の「スポーツ歯学」だけでなく、国際英文誌の「IJSD」もありますので、より知見を深めたい方はこちらも読んでみるといいでしょう。
http://kokuhoken.net/jasd/

家族療法研究

家族療法研究

「家族療法研究」は、日本家族療法学会が発刊する学術雑誌です。
当学会は医学や看護学、臨床心理学、司法臨床、社会福祉学、学校教育などの立場から臨床と研究を目的とした活動を行う団体です。家族療法は精神療法・心理療法の一種で、家族への理解と支援を行う対人援助の領域とされていますが、関連する領域が広いことから、当学会でも多様な職種の方が所属しています。例えば精神科医や児童思春期精神科医、心療内科医などの医師をはじめ、看護師や保健師、助産師、そして教師から社会学者、人類学者、弁護士なども在籍し、約1000名の会員を抱えています。
そこで「家族療法研究」についても多分野からの論文投稿がなされています。年に3回の発行がされ、幅広い知識、新しい理論や技能の習得までできるようになっています。
家族療法のシステム理論は病院などの医療現場だけでなく、会社や学校などでも役に立つとされています。興味のある方は読んでみるといいでしょう。
https://www.jaft.org/

まとめ

以上で、医学や歯学、薬学、看護等に関する学術雑誌を紹介してきました。各学会によって発刊頻度や取り扱われるトピックは異なりますので、自身の職種や関心に最も関りあるものを選択して読んでみるといいでしょう。